都市景観を考える

東京・丸の内と東京海上ビルを題材にして

都市の景観は、そこに関わる人々の市民的活動と建築物の相互作用により形成されるものであり、そのあり方は社会そのものの縮図である側面を有します。

東京駅と皇居を結ぶ行幸通りを中心に有名企業の本社・本店が立ち並ぶ東京・丸の内は、明治期以降の我が国を象徴する地域の一つです。この丸の内の景観は、様々な議論の対象となりました。こうした議論を振り返ると、それらが生じた時期は、いずれも時代の転換期と重なります。このことは、都市の景観と社会のあり方との関係を示唆するものと考えられます。

現在、我々の社会は、大きな転換点にあり、将来に向けての選択を迫られている時期にあります。こうした時期に、モダニズム建築家・前川國男の代表的建築物であるとともに、1960年代の「景観論争」の契機となり、現在の丸の内を象徴する建物である東京海上ビル(東京海上日動ビル)の建替えが検討されていることは偶然ではないと思われます。

本シンポジウムでは、都市の景観をテーマとして議論を行い、そのための題材として、丸の内と東京海上ビルを取り上げます。その議論の射程は、丸の内と東京海上ビルにとどまるものではなく、我が国の様々な都市が抱えている景観の問題、延いてはそこでの市民生活のあり方の問題に及ぶものであると考えています。そのため、丸の内の景観にご関心をお持ちの方は勿論のこと、津々浦々で都市景観の問題に取り組んでおられる多くの方々に本シンポジウムにご参加いただきたく思っており、また、ここでの議論が問題への取組みの一助になることを願っています。

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